【希望の糸】東野圭吾著 2022年 講談社文庫
東野圭吾といえば、加賀恭一郎シリーズ!
でも「希望の糸」はまだ読んでない
面白いのかな
どんな話なんだろう
そんなあなたのために、加賀恭一郎シリーズ【希望の糸】を紹介します!
あらすじ
喫茶店を営む女性が刺殺された
特別捜査本部が開設され、捜査一課から松宮刑事たちの所轄が応援に駆り出された
顔見知りによる犯行と読み、捜査を進めるも被害者を悪く言う人間はひとりもいなかった
そんな中、被害者のスマホから元夫と接触していた履歴が見つかる
また、喫茶店の常連客の中にただひとり男性がいることにも警察は目をつけた
松宮刑事が元夫と常連客の男性の捜査を進める中で、被害者に不可解と思われる行動が次々と明らかになる
捜査は難航するかと思われた矢先、意外な犯人が自供することに
事件は解決へ向かうも、松宮刑事はただひとり思い悩んでいた
一方、松宮刑事の元に金沢の老舗旅館の女将を名のる女性から連絡がはいる
会って相談したいことがあるということだったが、松宮刑事に思い当たるものはなかった
その頃、金沢の病院でひとりの男性がひとり息をひきとろうとしていた
ネタバレなしの解説・感想
加賀恭一郎シリーズだけど主軸は加賀の従弟である、松宮刑事です
加賀シリーズのスピンオフって感じかな
物語は、ある家族のプロローグから始まります
「プロローグのあらすじ」
来年中学生になる姉と10歳の弟
毎年秋、妻が子どもたちを連れて新潟へ里帰りをするのが恒例行事となっていた
しかし、その年に限って妻が仕事の都合でどうしても行けなくなった
子供たちは納得せず、自分たちだけで行くと言いだした
妻はそれも子供たちの成長のためにいいかもと、冒険させてみようと乗り気になった
夫も子どもたちの成長のためと言われては反論できず、ふたりを見送った
その日、夫は休日出勤をしていた
帰ろうとしていた時、突然ぐらぐらと足元がゆれた
震源地は新潟だった
子供たちとは連絡が取れなかった
情報を集めようと、テレビの震災ニュースを見たり、インターネットに繋いだが様々な情報が乱れ飛んで安否確認に繋がるものはなかった
警察から連絡が入ったのは、日付が変わろうとしていた頃だった
妻は仕事をしなくなり、自宅に閉じこもった
涙は枯れ、食事を摂らなくなり、死を口にするようになった
夫は、このままだと自分たちはだめになると思った
何とかして立ち直らなきゃいけない
そのためには生き甲斐が必要だと
それは子供しかないと思った
妻は夫の話を聞き、正気が蘇ったように感じた
もうすぐ40歳になる妻は不妊治療を始めた
震災からちょうど1年が経つ時、妻に新たな生命が宿った
物語の舞台は、加賀が松宮たちの所属する捜査一課に日本橋署から復帰して3年後という設定です
加賀は係のリーダーで、松宮はその部下であり加賀の従弟です
加賀シリーズが好きなひとなら当然、知ってますよね
事件は「自由が丘喫茶店主殺害事件特別捜査本部」が敷かれ、松宮と所轄の若い刑事が組んで捜査が開始されます
被害者は50代の女性店主で、胸を一突きされて倒れており、即死
衣服の乱れもなく、金品も盗まれていないことから顔見知りによる犯行と読んで知り合いをあたりますが、被害者のことを悪く言う人間が誰ひとりいなく松宮は早くも行き詰まります
そんな時、松宮に金沢の老舗旅館の女将を名のる見知らぬ女性から、相談したいことがあるので会って話がしたいという連絡を受けます
女将は、私が相談したいのは、あなたのお父さんかもしれない人物についてですと言うのです
松宮は混乱します
松宮の父親は何年も前に死んでいるはずでした
はい、衝撃の事実が発覚です!
そうきたか〜
びっくりしましたね〜
一方、加賀は被害者の携帯電話のメールと履歴から元夫に目をつけ、松宮に捜査の指示を出します
加賀もところどころでちゃんと登場しますから安心してください
元夫はマンションで女性と同居しており、1ヶ月ほど前に被害者から連絡があって久しぶりにふたりで会ったことは認めたが話の内容に不審な点はなく、アリバイもありました
次に加賀が目をつけて松宮に捜査の指示を出したのは、店の常連客でただひとりの男性です
男性は2年前に妻を白血病で亡くし、14歳の娘とふたりで暮らし
過去に震災でふたりの子供を亡くすという経歴がありました
おっと〜、ここでプロローグと繋がりましたね
松宮はこの男性と被害者の間に恋愛関係があったのではないかと疑います
なぜなら、ここ1ヶ月の間に被害者はエステサロンやジムに通い出していたことが明らかになっていたからです
しかし捜査を進めるも、ふたりの間に恋愛関係を匂わす痕跡は見当たりませんでした
でも松宮は、男性が何かを隠していると感じます
男性は明らかに、松宮と娘の接触を避けようとしていました
もしかしたら男性は、自分と被害者の関係をこれ以上調べてほしくない理由があるのではないか
松宮は娘が通う中学へ行き、テニスの顧問に捜査協力をお願いし部活中の娘を呼び出しました
娘に父親の身近に女性の気配を感じなかったかどうか訪ねます
父親とは話をしないし食事も別に摂っている、だから知らない
娘は逆に松宮に質問します
父はその喫茶店の人と付き合ってたのか、父がどんな人と付き合っていたのか、写真はないのかと
困った松宮は、反則行為だと思いながらも、父親のことを少しでも知りたいと願う14歳の気持ちを無視できませんでした
写真を見た娘は、この人見たことがあると言います
娘や同級生たちが皆、被害者がたびたび中学を訪れては遠くから部活の様子を眺めている姿を目撃していたのです
いったいどういうことなんだと考えている松宮の携帯に着信がありました
容疑者が自白したのです
ちょっと待って〜
急展開からの急展開じゃないですか〜
この後、容疑者の供述の裏付けも取れて、無事に犯人確定となります
でも松宮にはどうしても違和感が拭えずにいました
犯人の説明する動機がどうしても真実とは思えなかったし
その周りの人間も皆、何かを隠そうとしているのが明らかだったからです
そしてそれが、事件と無関係だとはどうしても思えずにいました
その松宮の考えに加賀も賛同し、捜査は続行されることになります
はい、ここからがこの本の本番です!
捜査を継続していた松宮は、ある衝撃的な真実を突き止めます
しかし松宮は悩みます
その真実を暴くことは、ひとりの人間の人生を壊してしまうことだったからです
同時に松宮は、自身の家族の真実にも直面します
そして、金沢の病院へ向かいます
今回のテーマは
「巡り合い」
本当の家族を追い求めます
ふたつの家族の運命が交差し、それぞれの秘密や過去が明らかになっていきます
事件の解決に留まらず、本当の家族を追い求める巡り合いに焦点を当てた物語です
松宮の父の真実に関しては、たぶん誰も想像できないんじゃないかな〜
遥かに予想を超えちゃってるし
でも単なる不倫じゃなくて良かった
最後はしっかり感動させてもらえました!
なが〜い糸が切れなくてよかった〜〜
満足度
★★★★★
感動します!
こんなひとにおすすめ
- 感動したいひと
- 松宮刑事が好きなひと
- 加賀シリーズが好きなひと
まとめ
この記事では、加賀恭一郎シリーズ11作目【希望の糸】のあらすじを紹介しました
加賀が日本橋署から捜査一課に復帰してからの事件で、加賀の従弟である松宮刑事を主軸にした設定です
家族という「巡り合い」がテーマの本当の家族を追い求める物語
ふたつの家族の運命と過去が交差し、それぞれの秘密が明らかになっていきます
- 被災で子供を亡くした家族
- 被害者を中心とする家族
同時に松宮の家族の秘密も明かされ
想像できない真実と感動が待っています!
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