【新参者】東野圭吾著 2009年 講談社文庫
東野圭吾といえば加賀恭一郎シリーズ!
でも「新参者」はまだ読んでない
読んでみたいけど面白いのかな
どんな話なんだろう
そんなあなたのために、加賀恭一郎シリーズ【新参者】を紹介します!
あらすじ
日本橋でひとり暮らしの女性が絞殺死体となって発見された
江戸情緒あふれる日本橋・人形町で加賀刑事は下町を歩き回り、足で稼ぐ地道な捜査を行う
その中で個性豊かな地元の人々と出会いながら、関係者ひとりひとりのアリバイを潰していく
関係者それぞれのエピソードがひとつのピースとなり、事件の真相へと繋がっていくことになる
やがて被害者の死を巡る謎が徐々に解き明かされていき
最後に浮かびあがった犯人とは
日本橋署に異動したばかりの警部補・加賀恭一郎として最初の事件
ネタバレなしの解説・感想
この物語は9つの章で構成される、連作短編小説となっています
加賀が関係者を捜査する中で出会う人々のエピソードが各章で描かれており
これらのエピソードが、全体として事件の真相解明につながっていきます
各章のあらすじはこちらです
第一章 「煎餅屋の娘」
煎餅屋「あまから」
事件当日に被害者の家を訪れていた保険外交員のアリバイ捜査を行う中で
保険外交員の証言と、実際の行動に30分のずれがあった
加賀はその理由を、意外な着眼点と推理力で突き止めていく
第二章 「料亭の小僧」
料亭「まつ矢」
加賀は、被害者宅に残されていた人形焼きの出所を追跡する
「まつ矢」の従業員が店主に頼まれて購入したものと判明するが、人形焼きの中にワサビ入りのものが混ざっていた謎が浮上したことで、捜査は意外な展開をしていく
第三章 「瀬戸物屋の嫁」
瀬戸物屋「柳沢商店」
被害者が常連客だったことが判明し、さらに店員である嫁と被害者がメールでやりとりをしていたという事実が浮かび上がる
嫁姑問題と事件が絡み合い、加賀の鋭い洞察力で真相が判明していく
第四章 「時計屋の犬」
時計屋「寺田時計店」
店主が日課としている犬の散歩で、自宅近くの公園で被害者と会っていたことが判明しかし、いつも公園に訪れている他の愛犬家たちは、被害者を見ていないと証言する
その矛盾が新たな謎を生み出すことになる
第五章 「洋菓子屋の店員」
洋菓子屋「クアトロ」
被害者には息子がいるが、父親とは絶縁状態で居所を告げぬまま家を出たきりになっていた
被害者はその後離婚してひとり暮らしをしていたのだが、その母親の殺害事件をきっかけに家族の複雑な関係が明らかになり、「クアトロ」との予想外な繋がりが判明する
第六章 「翻訳家の友」
翻訳家の友「第一発見者」
被害者の大学時代の友人であり、第一発見者でもある
事件当日、ふたりは会う約束をしていたのだが、友人の都合で直前に約束の時間を遅らせていた
殺害時刻の直前に、公衆電話から被害者へ不審な電話があったことも判明し新たな疑惑が浮上することに
第七章 「清掃屋の社長」
清掃屋の社長「被害者の元夫」
被害者が金銭的な問題を抱えていたことが明らかになり、事件の動機に繋がった可能性が浮上
離婚後、元夫は秘書を雇い入れるのだが、出会ったきっかけがホステスと客という関係だったことから更に疑惑が広がっていく
第八章 「民芸品屋の客」
民芸品屋「ほおづき屋」
加賀は店に並べられていた独楽を手に取り、入念に眺めた
店員に独楽について熱心に質問を繰り返して、ひとつ購入した
加賀が注目したのは独楽の紐だった
さらに近くの店で、事件当日に独楽が万引きされていた情報を手にする
第九章 「日本橋の刑事」
日本橋の刑事「上杉刑事」
上杉刑事は練馬署から移ってきたばかりの加賀という刑事が気に入らなかった
名前は聞いたことがあったが、第一印象が悪く失望していた
ある日加賀は、ある人物の捜査に出掛けようとしていた上杉刑事に声を掛け、一緒に連れて行ってくれと頼む
上杉刑事は乗り気でなかったが、なかば強引に同行することになる
やがて上杉刑事は、加賀の鋭い洞察力と推理力を垣間見ることとなる
以上の各章がひとつの物語になっており、事件とは関係ない感じの人情物語として完結しています
一見無関係に見える各章の情報がつなぎ合わさって事件解決へ結びつく
「連載短編小説」という手法をこの本で初めて知りました
なかなか面白い手法ですね!
日本橋・人形町の風景や人々の暮らしぶりがリアルに頭に浮かんで、出会う人々とのふれあいに心温まります
登場する店は実在する店をモデルにしているようなので行ってみたい!
ミステリーよりもヒューマンドラマ要素が強い印象です
特に最後の章では、上杉刑事が第一印象では悪かった加賀に対する見え方が徐々に変化していく様子や、上杉刑事が過去に負った心の闇が事件解決に大きく関わっていく過程に感動することになります
そしてなんといってもラスト!
めずらしく、ハッピーエンド!
超、スッキリ!!できます!
満足度
★★★★★
やっぱりラストはスッキリ!ハッピーエンドが一番!
こんなひとにおすすめ
- 連作短編小説が好き、読んでみたいひと
- 下町・人情物語が好きなひと
- ラストはハッピーエンドでスッキリしたいひと
まとめ
今回は加賀恭一郎シリーズ第八の事件【新参者】を紹介しました
この物語は9つの章からなる「連作短編小説」という手法で構成されています
一見無関係に見える各章のエピソードが、全体として事件の真相解明に繋がります
練馬署から日本橋署へ異動となった加賀が、日本橋・人形町を「新参者」として歩き回りながら下町の人々と触れ合いながら事件を解決していきます
実在する店をモデルにしていて人々の暮らしぶりがリアルに伝わります
ミステリー要素よりも人間模様に焦点をあてた感動物語
ラストは気持ちよくハッピーエンドでスッキリしたい!というひとは、ぜひ読んでみてください!
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